自民党に「終わりの始まり」を感じる

前回の更新から少し間が空いてしまったが、この間の安倍政権とその周辺の
動きは、かなり浮き足立っていた
のではないかと思う。
麻生太郎が「総裁選は圧勝だった」と言い張る中、沖縄県知事選では
与党側は辺野古移設反対派の玉城デニー氏に惨敗。
菅義偉小泉進次郎を現地に投入する総力戦体制でのこの惨敗は、かなり
ショックだったようだ(菅義偉無党派層にアピールするとはとても
思えなかったが)。
さらに、政権のイメージ悪化を少しでも和らげたいと思ったのか、
加計学園の加計孝太郎理事長が意味不明のタイミングで記者会見。
しかし、前回と同じゼロ回答を繰り返すだけで、何のためにあらためて
会見を行ったのかが分からず、疑惑を再燃させただけになってしまった。

そして、第四次安倍内閣は「全員野球内閣」と称されたが、
「全員野球」というのは個々の選手の能力が低い地方の弱小野球部が、
「とにかく全力プレイは心がけるぞ」という意味で掲げるスローガンである
ことは大抵の国民は理解していた。
もはや「仕事人」のレベルより下であることを自認し、でも皆で一生懸命に
職務を全うするから応援してね、というピントのずれたフレンドリーさを
アピールする格好となってしまった(安倍晋三が「全員野球」の意味を
理解していないだけなのだろう、と思うが)。
ただ、女性閣僚がよりにもよって片山さつき一人だけ、というのは
多方面からツッコまれても仕方がなかった。

自民党亀井静香は、安倍晋三が総裁三選を果たすと、自民党にとって
終わりの始まりになる、と言っていたが、そういう空気が実際に漂って
いるのではないだろうか。

石破茂の総裁選の善戦は、かつての「安倍一強」がもはや絶対のものでは
ないことを証明してしまった。
それでも党を信じ続けようとする者も、沖縄県知事選の結果は受け入れる
しかなかった。
「盤石」と言っているのは、党執行部だけである。
内閣支持率は相変わらずの高水準だが、それは裏返せばその数字は額面通り
信用できない、ということではないのか?
とどのつまり、本当に安倍政権を当てにして、来年の統一地方選挙
参議院選挙に勝てるのか?
地方や参議院自民党議員が、疑心暗鬼になっていてもおかしくない。
しかも、小賢しい公明党は、改憲議論には即座に応じない構えを見せた。

これは別に、安倍内閣不支持派の私が、願望だけで書いているわけでは
ない。
ニュース映像で見受けられる雰囲気や、新聞記事の文体や語調などで、
どうも今までの「やりたい放題」的な横暴がまかり通っていた政局とは
少し異なる空気感が漂っているように感じる
のだ。
それが冒頭に書いた「浮き足立っている」ような感覚。
二階俊博麻生太郎も、強気の姿勢は変えないけれど、今まで通りの
調子に乗った発言は少し控えておかないと危ない、という意識が
見え隠れする。
安倍晋三バブル」がいつ弾けてもおかしくない、という状況
理解しているみたいだ。
もちろん、文部科学大臣柴山昌彦のように、何も分かっておらずに
「大臣になれて嬉しい!」と早速ふんぞり返っているバカもいるが。

恐らく、党執行部としては、安倍政権は3年もたなくてもよい、
憲法改正が最大の目標なので、それが実現すれば落としどころを見て
解散してもよい、
と思っているのではなかろうか。
それまではとにかく政権のイメージをキープしなければならないので、
あまり大それた政策は実行しないようにしているのだ。

分かりやすい例が、来年10月の「消費税増税案」だ。
本来ならば、今年は6月から9月にかけて、日本列島各地は数々の自然災害に
見舞われ、いまだ多くの被災者は困難な生活を強いられているのだから、
延期されてもおかしくない。
しかも、先日、アメリカの株式市場が突如暴落し、日本経済にもその影響が
及ぼされた。
つまりこの数ヶ月間は、安倍晋三が言っていた増税延期の基準である
東日本大震災級の自然災害、もしくはリーマンショック級の世界経済の危機」
というラインに、かなり近づいていた状況ではないかと思う。
しかし、もう2度も延期をしてしまっている。
それも、極めてその場しのぎの理由で。

安倍晋三としては、面子を保つためには、増税実行に言及せざるを
得なかった。
これ自体がウィークポイントである。
ただ、安倍晋三はきちんと逃げ道を確保している。
会見では「増税予定している」という表現を用いており、増税する」とは
一言も言わなかった。

つまり、今後の支持率の変化や選挙結果などといった不確定要素に備えて、
政権をギリギリ踏みとどまらせておけるカードを確保しているのである。

さらに言えば、「軽減税率」や「カードのポイント還元」といった
消費者向けの措置が、「一体、今まで何を議論していたんだ?」と
言いたくなるぐらいにスカスカの体たらくなのも、本音を言えばやりたく
ないからなのだろう。

何しろ、2019年に増税したとして、翌年にはもう政権を退くのだから。
2020年まで政権がもてば、後は東京五輪を成功させることだけ考えれば
よいのだから。

始まったばかりの第四次安倍内閣は、既に「どう無難に終わらせるか」という
ことしか考えていない。
失言や不祥事に、さらに敏感になっていくことだろうが、ここまで来たから
には、ちょっとやそっとで退陣するまい、という意地があるから、
党執行部は感情的になっていくかもしれない。
「次にどのようにバトンを渡すか」という大局的な視点が抜けており、
「安倍の次」にどのように振る舞っていくかということが考えられない
自民党議員が多数存在する模様である。

「終わりの始まり」とは、つまりそういうことなのだ。