「日本の諜報」から見える対米従属

相変わらず忙しい日々が続くのだが、忘れないうちにこのブログに書き留めて
おきたいことがあるので、久しぶりに更新させていただく。
NHKスペシャル』の「日本の諜報 スクープ 最高機密ファイル」が非常に
興味深い内容だった。

我々は何も知らないままであったが、防衛省防衛庁であった時代から
独自に諜報活動を行ってきていた。

実態は不明のままであったが、ある事件がきっかけで日本の諜報活動が国際社会で
注目されることとなった。
それがソ連による大韓航空機撃墜事件。
冷戦時代真っ只中だった当時、ソ連は「アメリカの陰謀」として撃墜を否定したが、
ソ連側の動向を北海道にあった防衛庁の諜報施設が傍受していたのだ。
そして、音声データを国会安保理に提出。
「動かぬ証拠」を突きつけられ、ソ連は渋々撃墜を認めたが、重要なのは
そこではない。

日本の音声データ提出は、アメリカの指示によるものだったのだ。
これは、次の2つの事実を示している。
1) 日本が諜報によって得た情報を、アメリカはアメリカは把握している
2) その情報の取り扱いついて、アメリカは日本に指示できる立場にある

防衛庁職員がインタビューに応じていたが、このように明言していた。
「日本の諜報施設は、アメリカの出先機関
「日本はアメリカの属国状態」

また、アメリカ側のインタビューに応じた人間(NSA関連の人間だったのか、
ジャーナリストなのか、忘れてしまった)は
「アメリカは日本にデータ提出を指示してはいけなかった。それは機密で
あるべきだった」

と答えていた。

この事実だけで、日本はやはり主権国家ではないということが分かる。
国防のために得た情報をどのように利用するか、自分で決定することが
できない
のだ。
しかもその情報は、アメリカに開示しなければならない。
冷戦時代の「防共ライン」という大義名分があったとはいえ、国家機密を
易々と他国に開示するという現状は、「同盟関係」ではなく「主従関係」
言わなければならない。

さらに考えるべきは、日本の諜報活動がアメリカの侵略戦争や軍事行動の
片棒を担ぐことになる可能性
である。
例えば、自衛隊も諜報活動を行っているが、その情報がアメリカ軍のサポートとして
用いられたとしたら、どうなるだろうか。
「後方支援」自体、国際法では戦闘行為に相当する、という解釈が存在するが、
情報提供となると「後方支援」の枠を越えてさらに戦闘行為に近づいているだろう。

危ないのが、イラク派遣である。
陸上自衛隊の日報隠蔽により、詳しい行動が公開されていない。
もし、そういう行動が認められれば、完全にアウトである。
いくら小泉純一郎自衛隊の活動する地域が、非戦闘地域と強弁しようが、
日本はイラク戦争においてアメリカに加勢したことになる。
護憲派」は、9条を護持したままでも戦闘行為ができてしまう、という
現実を直視しなければならない。

また、インターネット通信が一般的となった現在、日本では大刀洗通信所において
通信衛星を対象として、国内のネットのやり取りを傍受しているという。
もちろん、そのような行為は憲法で禁止されているため、政府も防衛省も否定して
いるが、日本は情報公開の水準が低いし、国家機密という建前でいくらでも秘匿できるので、事実確認がほぼ不可能だ。
こうした活動を取り仕切っていると言われているのが、内閣情報調査室
北村内閣情報官
である。
北村は、ネットの諜報についてディスカッションを行うため、アメリカのNSA
やって来たという証言があった。
NSAは、エドワード・スノーデンの告発により、ネットであらゆる個人情報を
傍受していたという事実が明るみとなった組織である。
ならば、推して知るべし、と言ってよいだろう。

こうした事実を前にすれば、安倍政権が共謀罪成立に無理を通したのも
理解が出来る。
国内の諜報活動を正当化し、その情報をアメリカに流す、という意図があるのだ。
共謀罪に徹底して反対していた高山佳奈子教授の推測は、完全に正しかったのである。
上で触れた北村内閣情報官は、同ポストを6年間歴任しており、第2次安倍政権の
期間とぴったり重なる。
安倍政権は、成立当初から「アメリカに従属すること」を大前提としていたのだ。

ちなみに、安倍晋三が提唱する「自衛隊9条明記」は、自衛隊を「戦力」としない
ままで、従来通りイラク派遣に相当する「戦闘行為」を可能とするものであるため、
まさに「対米従属」の極みである。
侵略戦争に巻き込まれないためには、主権を回復しなければならない。
国の主権を蔑ろにする安倍政権を「保守派」と表現するのは、いい加減に
やめてほしいと思う。