「私情」で「公」の理念を潰すな!

ノミ程度の脳味噌しか持ち合わせていない安倍晋三が、講演会で
獣医学部の新設を全国展開していく」
とぶちまけた。
あっけにとられた関係者は多かったことだろう。

最も驚いたのは、京都産業大学かもしれない。
何しろ、「広域的に獣医学部が存在しない地域に限定する」という
「規制」
を理由に、獣医学部新設の認可が下りなかったのだから。
アレは一体、何だったのか?
今、あらためて申請すれば、認可されるのだろうか?

また、安倍は国会で「総理のご意向」について、
「私の意向が入り込む余地はない」
と言い切っていた。
しかし、国会閉幕後の講演会という場で、従来と180度異なる意向を
表明している。

たかだか数週間前の自分の発言を覚えていないのだろうか?
「岩盤規制にドリルで穴を開ける」と呪文のように唱えていれば、
抵抗勢力に対抗するヒーロー」と見做される、とでも
思っているのだろうか?

何でも政府関係者筋によると、今回の発言について安倍は
「あまりに批判が続いているから、頭に来て言ったんだ」
と語っているという。
何と、単なる八つ当たりだったのだ。
公人であるべき総理大臣が「私情」をぶちまけ、現実的に日本獣医師学会に
プレッシャーを与えてしまっている。

もはや、やぶれかぶれということなのだろうか。
都議選の敗北は必至だから、せめて発言の上では「加計ありき」は否定
しておこう、ということなのだろうか。

ただ、このような愚挙極まりない発言でも、閣僚がフォローしているのだから
呆れてしまう。

山本幸三地方創生相は記者会見で、
獣医学部の全国展開は、何ら問題がない」
とした上で、
「国家試験があるので、獣医師の質は維持できる」
と発言した。
記者が「教育の質が低下し、あぶれる(試験に合格できない)人間が
増えるのではないか」
と問うと、
「それは、本人の責任でしょう」
と答えた。

出た! 自己責任論!
山本は獣医師の国家試験を、英検や簿記の検定試験か何かと同じものだと
思っているのだろうか。
参考書や問題集がいろいろ揃っていて、本人がきちんと勉強していれば
合格できるはず、不合格になるのは勉強不足、といった程度の認識しか
持っていないのではないか。

記者の質問は、日本獣医師学会の主張に基づいている。
徒に獣医学部を新設してしまうと、教員が不足する上に設備の充実も
難しくなってしまう。
つまり、大学での教育のレベルが低下してしまうのだ。

獣医師試験は、当然ながらノートとペンだけで勉強できるものではない。
正確な実技を身につけるため、大学でしっかりと実習を受けることが
必須となる。
しかし、教育レベルが低下すると、それが極めて難しくなる。
専門性が高いため、獣医師試験の合否は大学教育のレベルに左右される、
と言ってよいだろう。

しかも、無駄に学部が増えると、本来充実した環境にあった大学の教員の
雑事が増える可能性がある。
学会の運営も変更が生じたりと、あらゆる点において「本来やらなくても
よいこと」が無意味に増えてしまうのだ。
これは日本の獣医学部全体の地盤沈下につながる。
それを山本幸三は全く理解していない。

利益を追求する民間企業が、事業を拡大するのとは訳が違う。
「教育のレベルの維持」「獣医師のレベルの維持」が大前提として
存在しており、それを後世に伝承していかなければならない。
まさに「公」のために存在していた規制であり、それを総理大臣の「私情」で
潰されるわけにはいかないのだ。

昨日、その日本獣医師学会が記者会見を行い、獣医学部新設による
全国展開は重大な問題を抱えている旨を発言していた。
安倍や山本は、あの発言に反論できるのだろうか。

「加計問題」のみならず、様々な問題や不祥事において、自民党議員の
「その場しのぎ発言」が相次いでいる。
政治家は公人なので、その発言には責任が伴う。
発言を撤回しない限りは、その発言の内容は永続的に有効だし、
撤回したとしても納得しうる説明がなければ、考えが変わっていないと
見做されても仕方がない。

民主主義を支えるのは徹底した議論であり、政治家というものは
国民の代議士として議論を行うのが仕事である。

よって、「言葉のプロ」でなければならない。
そこまでプロ意識を抱いている政治家が、今の自民党にどれだけ存在
するだろうか。