「劣悪保守」百田尚樹の狂った発言: 共謀罪・日米安保

『朝生』の百田尚樹の発言を批判する記事を書いたら、コメントを
いただいた。
「溜飲が下がった」「もっと言ってやってくれ」とのことで、非常に
励みになった。
私ごときのブログが少しでも役に立ったのであれば幸いである。
そこでご要望にお応えして、続きを書く。

安倍内閣強行採決しようとしている「共謀罪」について、
国連特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏が
「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」
と懸念を示す書簡を日本政府に送付している。
政府はこの書簡にまともに取り合おうとしないが、マスコミは「共謀罪」の
問題点を追及する資料のひとつとしている。
百田はそれが気に入らないらしい。
何でもよいからケチをつけたい、という浅はかな考えから発せられたのが、
無知とバカを晒したこの発言。

国連特別報告者って誰ですか?」
「その人物の思想的背景は?」

どうも「報告者」という肩書きから、単なる一個人の見解なのではないか、
と言いたいようだ。
しかし、新聞を読んでいれば、そんな軽い文書ではないことが分かる。
国連特別報告者とは、特定の国やテーマ別の人権状況について、
事実調査・監視を実施する役職
で、国連人権理事会が任命する。
自身の国籍や宗教とは無関係に、「公」の立場から人権問題について
取り組む存在だ。

ケナタッチ氏の言葉は、国連人権理事会の言葉そのものなのである。
特定の「思想的背景」に振り回されているわけではない。
振り回されているのは「劣化保守」に凝り固まっている百田の方」である。
そもそも、「公」の職務に当たっている人物について、「思想的背景」云々
と語ること自体、国連に対する侮辱ではないか。

さらに百田は、まさにネトウヨそのものともいえる「憶測(あるいはデマ)
のみに基づく発言」を堂々と行っている。

「左翼が国連共謀罪について報告した、と聞いている」

何だ、この伝聞情報は?
百田は国連の情報ネットワークを閲覧できる立場にある、とでも
言うのだろうか?
第一、共謀罪に反対=左翼」という結びつけが、あまりにも短絡的で
バカバカしい。

議論を重視する民主主義を守るためにも、言論や表現を萎縮させては
ならない。
だから、真っ当な「保守」は「共謀罪」に反対して当然なのだ。
「保守」は国体を保守する立場である。
権力を保守しようとする人間は、「保守」ではない。

百田はそれが全く分かっていない。
井上達夫氏に
共謀罪が成立してから、左翼政権が誕生すると、君達右翼の活動が
取り締まりを受けることになるのだぞ」

と言われても、
「そんなことありませんよ」
と根拠のない受け答え。

井上氏は「リベラル」だが、さすがに抜群のバランス感覚をお持ちである。
左右というポジションではなく、権力を徒に増強することに問題がある、
という本質を突いてきた。
百田にはそれが理解できない。
安倍晋三自民党を支持することこそが正しい、と思い込んでいるから、
権力が本質的に内包している危険性というものに無頓着である。

議論はさらに安倍晋三が提言した「憲法9条改正」に進んだが、
それに関連する「日米安保」について、百田は驚くべき発言をした。

日米安保は、日本の丸もうけでしょ」

その理由は「アメリカが米軍と基地の費用を出しているから」なのだとか。
井上氏が
「君は本当に右なのか? 国内に米軍が駐留して、護ってもらっている状況に
何も感じないのか?」

と批判されると、
「でも、(自主防衛は)むっちゃカネかかるんですよ!」と。

お前が重視するのはカネかい!!
「丸もうけ」ならば、主権を奪われていても平気なのか?
カネがかかるから、自主防衛を放棄してアメリカの属国になるのか?
こんなことを平気で発言できる人間は、「保守」ではない!
むしろ、国を護るために一切血を流したくない、という甘っちょろい
「平和主義」という名の「左翼」と同じ
ではないか!

井上氏が上のコメントをぶつけているとき、百田は相当に動揺したのか、
顔を横に向けてストローでお茶を飲んでいた。
切れ味鋭い「言葉の力」に圧倒されて対面できず、同時に気持ちを
落ち着けるために何かを口にしたい衝動に駆られたのだろう。
素人でもそれぐらいの心理分析は出来る。
完全に井上氏の「一本勝ち」だった。

番組終了後、百田はツイッター
「ギャラが低いので、2倍に上げてもらった」
と、驚愕の内幕を暴露した上で、
「あの番組にはもう出ない」
と宣言した。
「公」のために議論を深めるのが『朝生』の趣旨であり、
ギャラは付いてくるものにすぎない、というのが出演者の共通認識だと
思うが、百田はギャラにこだわりたいらしい。
「もう出ない」のは、ズタボロに論破されたからだろう。

ツイッターではフォロワーから
「(井上氏に対する)あの切り返しはさすがでした」
とチヤホヤされていたが、恐らくそういったクローズド・サークルで
チマチマと発言して「お山の大将」を気取ることしかできないのだろう。
まさに「井の中の蛙」が外に出てみたら、立て続く大波にさらわれて
何も出来なかった、という惨憺たる有様だった。

ここ近年で「保守の劣化」がどんどん進行している。
自分の頭で考えることを放棄し、ファッション的な感覚でイデオロギー
嵌まる
から、「劣化保守」「アナクロ保守」に飛びついてしまう。
本を読まない人間、ツイッターの字数より長い文章を読めない人間が、
ネット上の同調圧力に負けてネトウヨ化していく。

百田はプロの作家のくせに、自分の「ネトウヨ的言論」を著した本を
書かない。
SAPIO』『WiLL』『Hanada』のような「ネトウヨ御用達雑誌」に寄稿するか、
ツイッター発信するだけである。
周囲にイエスマンしか置いていないから、議論にやたら弱い。
普通ならばこんな人間は言論界から放逐されるのだが、それをフォローして
しまうのがネットの恐ろしさである。

無知とバカ同士で寄り合っている状況は、まさしく今の安倍内閣と相似形
であるように思う。