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「森友問題」真相究明の幕が切って落とされた

籠池氏の証人喚問が無事終了した。
私は、ほぼ満額回答だったのではないか、と思っている。
3種類の建築見積書についてのみ「刑事訴追の恐れがあるので回答を控える」
と述べたので「ほぼ」が付くが、それ以外は百点満点だろう。


一部のワイドショーは「籠池氏に振り回されている」「問題が矮小化されて
いる」として、本来の国有地払い下げ問題に焦点を当てろ、と言っている。
それはその通りだが、籠池氏が述べる主観的事実だけで真実が解明される
はずがない。
安倍昭恵松井一郎、迫田英明らを証人喚問の場に立たせることによって、
初めて客観的事実が浮かび上がるのである。


籠池氏は、すっかり心が入れ替わってしまったように見える。
証人喚問の冒頭発言で、以下のように述べている。

「幼児教育の現場で指導の行き過ぎなど不行き届きが生じた。
至らなさを認め、反省すべき点は反省し、謝りたい
今後は行政の指導を受けて適切に改善を行ってまいる」

自分の教育方針が、世間の常識と照らし合わせて不適切であったと認めた
ともとれる発言だ。
3月10日に息子を伴って行った記者会見の時とは、全く異なる態度である。


その上で、実際の払い下げの経緯については、以下のように述べている。

大阪府松井一郎知事や府に力添えをいただくようお願いした。
ただ、その後の府の中でのやり取りは知らない
松井知事から話を聞いて、国会や府議会で真相を究明していただきたい

「最終的に土地価格は8億円も値引きされ、1億3400万円あまりになった。
想定外の大幅な値下げに当時はちょっとびっくりした。
値引きの根拠などは財務省近畿理財局、当時の理財局長にお聞き
いただきたい

「佐川宣寿理財局長の命で「10日間隠れていて」と顧問弁護士に
伝えられたことも不思議だった

「私の妻に昭恵夫人から(中略)口止めとも取れるメールが届いた。
「考え方に共鳴している」とか「森友学園の先生の熱意は素晴らしいという
話を聞いている」と首相も言っていたのに、どうしてなのか割り切れない
思いだ

「大幅な値引きなど一連の真相を明らかにするためにも、私だけに
「トカゲのしっぽ切り」で罪をかぶせるのではなく、関係者の方々を国会に
呼んで、
真相究明を進めていただくよう心からお願いする


その後の「神風が吹いた」発言も含め、籠池氏はどのような力が働いて
大幅な値引きに至ったのか、知らないのである。
「忖度があっただろう」とは述べているが、もちろん断言はしていない。
当たり前だ。
財務省国交省の役人と直接交渉したわけではないのだから、
籠池氏の主観で「忖度」や「口利き」の存在は証明できない。


籠池氏は、松井知事や鴻池議員、安倍昭恵らに「働きかけ」を行った
だけである。
それ自体は褒められた行為ではないし、鴻池議員への「コンニャク」などは
賄賂申込罪に問われる可能性がある。
ただ、そうした「働きかけ」により、ブラックボックスから「認可適当」
「8億円値引き」という「結果」が出てきたのだ。
籠池氏は、ブラックボックスの中身の詳細を知りようがない。
だから「神風」「天からの配剤」としか表現できないのだ。


自民党や維新の議員、安倍晋三御用ジャーナリストらは、籠池氏の証言を
そのまま信用することはできない、
と強弁している。
見積書を3種類も作成しただけでなく、自己の経歴や中学校推薦枠、
天皇陛下森友学園に来られた旨など、ホームページに虚偽の記載を
していた事実を挙げて、「こういう嘘つきなのだから、嘘の証言をしている
可能性がある」というのだ。


それらはもちろん看過できない不正であるが、いずれも「過去のこと」であり、
見積書以外の項目については証人喚問できちんと弁明している。
また、これらの不正は、小学校設立のため、あるいは森友学園の誇大広告の
ためであり、具体的なメリットが存在する。
一方、証人喚問で籠池氏が嘘を述べるという行為には、デメリットしかない。
当然ながら偽証罪に問われる恐れがあるし、そもそもそのようなリスクを
背負ってまで「守るもの」が、籠池氏側にはもう無いのだ。

小学校設置認可申請は取り下げ、それに伴って15億は下らないと思われる
負債を背負うことになる。
証言の内容によって、負債が減じるわけではない。
この期に及んで、偽証する必然性がないのだ。


そもそもこうした不正は、「そこまで調べる奴はおらんやろ」と軽い気持ちで
嘘を表記したという程度のものである。
だから、実際に調べればすぐにバレる。
こうしたチンケな嘘こそ「籠池クオリティ」である。
しかし、「百万円の寄付金」や「借地契約についての安倍昭恵への陳情」
などは、内容のレベルが全く異なる。
安倍昭恵が人払いをして、「一人でさせてすいません」と言って
百万円を渡した、という込み入ったエピソードを、籠池氏が創作できるとは
思えない
のだ。


上述したように、籠池氏はブラックボックスの中の動きについて
ほとんど知らない。
大物政治家から寄付金を受け取る際に、先方が人払いをする習慣があるのか
どうかさえ、知らないのではないか。
また、陳情を行うにしても、安倍昭恵に電話したら留守電だったからといって、
ダイレクトに谷査恵子氏(首相夫人付職員)に連絡したとも考えにくい。
籠池夫人と安倍昭恵の仲だからこそ成立する話であり、だからこそまずは
安倍昭恵の耳に入れておかなければならない
、と考えるのが「籠池クオリティ」
である。
谷氏にどれだけの権限があるのか、谷氏に頼んで財務省に話を上げて
くれるのか、籠池側には全く分からないはずだ。


以上は私の推測でしかない。
籠池氏は「日本会議」を始めとする「劣化保守」の連中(かつての仲間)
から手のひら返しを受けた
ため、世間一般の側に戻りつつある、と
私は思っている。
昨日の『報道特集』の籠池氏単独インタビュー(証人喚問後)を見て、
その印象は強くした。
何かに取りつかれていたかのような3月10日の記者会見とは打って変わって、
表情が穏やかなものに見えた。


真相を究明するには、安倍昭恵松井一郎、迫田英明らの証人喚問は
必須である。
自民党「首相を侮辱した」という理由で籠池氏の証人喚問に応じ、
思惑が外れると籠池氏を嘘つき呼ばわりし、そしてその他関係者の
証人喚問には応じない。

真相を闇に葬ろうという不誠実な態度である。
もちろん、証人喚問は「私人」にも適用されるし、「罪に問われるか否か」は
全く関係がない。


「籠池劇場」などと言って冷めている場合ではない。
巨悪を追及する幕がようやく上がったばかりなのである。