トランプ大統領に恐れおののく政治家や知識人

最近、日本のマスコミはどこもかしこも「トランプ、トランプ、トランプ」
である。
TPP永久離脱の大統領令や日本を名指し批判したツイッター発言については
報道するのは分かるが、メキシコとの国境の壁や難民移民制限など
日本との関連が薄いニュースをそこまで強調すべきだろうか。
どうも、視聴者の不安をいたずらに煽っているように思える。


しかし、これほど分かりやすい大統領というのも珍しいのではないか。
何しろ、アメリカを再び偉大にする事「だけ」に徹底的にこだわっている。
実行している事は、全て選挙活動時に公言した内容に基づいたもの
ばかりである。

TPP永久離脱も、アメリカ国内の雇用促進も、メキシコとの国境の壁も、
難民移民制限も、全て有言実行である。
単に大統領令を発行するのが早いだけのことで、今更驚くことではない。


辛坊治郎読売テレビの「す・またん」という番組で、トランプ大統領の
就任演説について、
「人権や自由について全く触れなかった。アメリカを偉大にする事ばかり
強調していた」
と批判した上で、
「こんな人間に核のボタンを渡してよいものか」
と注意を喚起していた。
いやいや、トランプ大統領が無駄に戦争を仕掛ける事は有り得ない。
ジョージ・ブッシュが無理難題をふっかけて起こしたイラク戦争を、
トランプ大統領は「金の無駄だ」と批判しているのだ。
同時に「アメリカは世界の警察である事をやめる」とも言っている。
有言実行のトランプ大統領が、自身の発言を翻す事はない。
ブッシュが核のボタンを握っていた時代よりも、遙かに安全なのだ。


また、最近知った事ではあるが、メキシコからの不法移民は日本人が
認識している以上に深刻なものであるらしい。
メキシコのニエト大領は国民に重い税金を課しており、それにも関わらず
景気が全く良くならないので、大統領支持率はたったの12%なのだそうだ。
自国で食っていけないのならば、メキシコ人がアメリカへ移住していく
事情も納得できる。
放置していれば、「壁が出来る前に、アメリカへ出国しなければ」という
心理から、不法移民は急増することだろう。
事は急を要するのだ。


メキシコ人が抗議デモを起こすのは当然である。
一方で、ニエト大統領が「壁の建設費など、払わん」と憤慨しているが、
当人が元凶をつくっていたのだ。
日本のマスコミも、どうせ報道するのならばこうした事情をきちんと
解説しなければならない。
単に「トランプって、怖い」というイメージを作ることばかりに
奔走していても仕方がない。


そんな中、笑って良いのかどうか迷うニュースも見掛けた。
何でも、ある首相官邸幹部が「まさか、選挙演説で言っていた事を本当に
実行するとは思わなかった」
と発言したらしい。
何と、甘っちょろい認識だろうか。
あれらは全てパフォーマンスで、大統領に就任すれば大人しくなる、
従来の大統領と同じように振る舞う、と思っていたようだ。
アメリカの白人保守層にがっつり支持されて当選したのだから、
実行するに決まっているだろう。
安倍晋三のように、「新しい判断」などと意味不明のフレーズで
公約を蔑ろにすることなど有り得ない。


麻生太郎は、国会で「トランプが最大の不確定要素だ」と発言した。
公の場での発言なので、きちんと「大統領」の肩書きを付けるべきだと
思うが、それはともかくこの期に及んでトランプ大統領の行動が
読めないらしい。
上述したように、私のような素人でも「分かりやすい」と認識できるのに、
副首相がこの程度の認識である。
さすがに「みぞうゆうな元首相」だ。


自民党は、いまだにTPPへの未練を断ち切れないでいるのだろうか。
何度も書いているが、トランプ大統領が前言撤回することなど有り得ない。
ましてや、「2016年版・世界で最も影響力のある人物ランキング」の
37位どまりだった安倍晋三が、2位のトランプ大統領を説得できるわけが
なかろう。


それよりもリアルに考えるべき事項は、日本の防衛体制だろう。
トランプ大統領は、選挙活動時に「日本はもっと防衛費を負担すべき。
さもなければ、米軍は日本から撤退する」
と明言した。
当然、その要求をぶつけてくるだろう。
その場合、安倍はどのように返答するのか、決めているのだろうか。


早ければ、来週の日米首脳会談でその交渉が行われるだろう。
トランプ大統領は自分の政策が急進的だと理解しているから、
さっさと大統領令を発行して、結果を出すことの重要性もきちんと
認識している

最大2期8年の任期で、どこまで国内の改革を進められるかの瀬戸際だ。
だから、公言した事はどんどん実行していくはずなのだ。


安倍はTPP参加への理解を求めていくつもりだろうが、そんな「終わった事」
など一顧だにされないだろう。
結局、防衛費負担増大という負の土産だけ押しつけられて、
日米首脳会談は終了する
と思う。


本来は、来たるべき自主防衛について議論する大きな機会ではあるが、
さすがに他にも問題が山積している上、安倍政権下での憲法改正には
私は反対なので、今後の課題として留め置いておくしかない。


とにかく、トランプ大統領に関しては、日本のマスコミも政治家も知識人も
要らぬ事に心配をしながら、考えるべき事から目をそらしている、という
状況だ。
グローバリズムが崩壊し、「新自由主義」とやらに基づく自由貿易
妨げられると、たちまち戦争が発生するとでも言わんばかりの勢いである。


アメリカの大統領が「アメリカ・ファースト」を掲げるのは当然のこと。
日本も同様に「ジャパン・ファースト」を是とすればよいだけのことである。