自国企業を守れない弱腰日本政府

いわゆる「トランプ砲」なるものが物議を醸している。
時期的にトランプはまだ民間人の立場ではあるが、次期アメリカ大統領とも
あろう人物がツイッターで好き放題にメッセージを撒き散らすというのは
非常識である。
そんな「トランプ砲」が日本にも飛んできた。
あろうことか民間企業のトヨタを名指しして、メキシコでの工場建設計画を
真っ向批判してきたのだ。


民間企業は自社の営業利益の向上に努めればよいだけで、法から逸脱する
ことがなければ営業戦略について他者からどうこう言われる筋合いはない。
かつて、日米貿易摩擦による「ジャパン・バッシング」が巻き起こった時
であっても、自動車メーカーが名指し批判されることなどなかった。
それだけトランプの言動が反知性的と言えるのだが、結局はトヨタ
豊田章社長がアメリカの自社工場に追加投資を行うことを発表して
ひとまず事態は収まった。


しかし、これはゆゆしき問題である。
もちろん、トヨタの対応は責められるべきではない。
日本政府が完全に沈黙を保っていたことが問題なのである。

上述したように、民間企業は利益向上が主な仕事である。
本来、トランプのような人間をなだめすかすのは、政府の仕事なのだ
官房長官でも世耕経済産業大臣、あるいは安倍首相でも誰でもいいから
トヨタ側に立って「トランプの批判は不合理である。受け入れられない」
と公式に発言すれば良かった

そうした政府の担保があってこそ、トヨタは営業に専念できるのである。
民間のトヨタが公的な「外交」に配慮して追加投資を発表するなど、
異常事態である。


水面下で何らかのやりとりがあったのかもしれないが、結果的に政府は
トヨタを見殺しにしてしまった。
日韓少女像問題で韓国を批判することには執心していた自民党だが、
対米となると一気に口が塞がってしまうのだ。


恐らく、トランプの機嫌を損ねたくないのだろう
安倍も菅も、いまだにトランプがTPP離脱表明を翻してくれること
期待している。
だから、特に経済政策においてトランプを刺激することを避けているのだ。


全く情けない話だ。
トランプは策略家だから、その辺の事情は見抜いているのではないか。
TPP離脱を表明するだけで、勝手に外交カードが転がり込んできたような
ものだ。
日本政府が「沈黙の譲歩」を行ったことは、トランプは絶対に憶えている
だろう。
今後、このカードを振りかざしつつ、既成事実としての「前例」に
基づいて、好き放題にいろいろと要求してくるかもしれない。


ここまで交渉事に弱いくせに、TPP参加を謳うのだから呆れ果てる。
万が一、TPPが実現してしまうと、国内の産業は外資に食い物にされて
しまうだろう。


何しろ、日本政府に自国の企業を守るという意志がないのだ。
それよりも自己保身や私利私欲を優先させているのだ。
アメリカに「実効支配」されて平気なのだ。
こんな政権に「美しい国 日本」などとほざく権利はない。