少女像設置騒動の根元にあるもの

韓国の釜山にある総領事館前に少女像が設置された抗議活動に対し、
日本政府が報復として在韓大使らを引き上げさせた。
マスコミは「改善しかけていた日韓関係がまた悪化」と報じている。


しかし、本当に日韓関係は「改善しかけていた」のだろうか。
2015年末の「日韓基本合意」に反対した韓国国民は約6割。
その時点で既にわだかまりは存在していた。
今になってそれが顕在化したのは、韓国国民の不満の矛先が一時的に
朴槿恵政権に向かっていたためかもしれない。


私は中途半端な「合意」を締結した安倍外交の失敗だと思う。
合意文書をきちんと読んだわけではないのだが、日本側にとって大きな
メリットがない内容だったのだ。
一応、日本は慰安婦に対する補償として10億円を拠出するのに対して、
ソウル大使館前の少女像の撤去を求めた。
大使館前に政治的主張を訴える物を設置する行為は国際条約違反、という
日本側の主張は根拠があるため、韓国に遠慮する必要はなかった。
しかし、肝心の「少女像撤去」は合意文書では明文化されず、
「韓国政府は解決のために努力する」という口約束による努力規定しか
取り付けることができなかった


結局、韓国政府は10億円をもらって元慰安婦に給付しただけで、
大使館前の少女像はいまだに撤去されていない。
元より朴槿恵政権は支持率が低く、先述したように「合意」に反対する
韓国国民も多かったので、無理して波風を立てる必要など無かった
そりゃあ、「努力」さえしていれば10億円もらえるのだから、
こんなにオイシい話はない

日本は丸損しただけだった。


安倍首相は朴槿恵大統領に、電話で「反省とお詫びの気持ち」を
伝えたらしい。
これで慰安婦問題を打ち止めにしたかったのだろうが、完全に裏目に
なってしまった。
次世代に禍根を残す結果となったのだ


昨年の対米・対露外交と同じだ。
安倍は「その時さえ良ければ」「自分のイメージさえ良ければ」という
場当たりの外交しか行わない。
相手にボールを投げ渡す「攻撃」も出来ないし、ここは絶対に譲れないと
主張する「防御」も出来ない。

国際社会に通用するはずのない「世間体」という概念にとらわれて
しまっている。
こんなことで一国の首相が務まるはずがない。


二階幹事長が「韓国は面倒な国だ」と発言してネトウヨから絶賛されて
いるが、そんなことは既に分かっていたことである。
同じアジアの国とはいえ国民性が全く異なるのだから、それを織り込んで
外交を行うのが当然の態度である。

言ってしまえば、トランプだってプーチンだって「面倒な人間」なのだ。
それに対処できなかった失敗を棚上げして、後からブチブチと文句を言う
のは単なる駄々っ子である。


韓国に対しては、基本的に放っておいてよいと思う。
ネットの普及により、日韓関係の正しい歴史が韓国の若者に認識される
ようになってきた。
伊藤博文を暗殺した安重根を英雄視する人も徐々に減っているらしい。
歴史認識が改まればそれで良いのだから、ある程度は世代交代による変化に
期待を寄せても問題は無いように思う。


外交能力の欠けたエセ保守首相が、下手に功績を求めたものだから
大火傷をしてしまった、というのが今回の一件ではないか、と感じた。