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「変化」に取り残される安倍自民

トランプ氏の勝利を受けて、安倍首相がコメントを発表していた。
祝意を表した上で、
「日米同盟は普遍的価値で結ばれた揺るぎない同盟だ。
その絆をより強固なものにしていきたい」
「トランプ次期大統領と仕事ができるのを今から楽しみにしている」
と記者団に語った。


いかにもな社交辞令で、仮にクリントン氏が勝利していたとしても
同じような内容になっていただろう。
ただ、そういう前例に則った既定路線は、今後は通用しないのだということを
理解しているのだろうか。


このコメントは、要するに国際情勢がどうなろうと日本はアメリカの
ケツ舐め外交を続けていきます、という表明
である。
安倍はアメリカという後ろ盾がなかったら何も出来ない人間だから、
こうしてご機嫌取りに必死なのだ。
でも、トランプ氏は「そんな日本がウザい」と考える人間だから、
こんな懐柔作戦が通用するはずがない。


イギリスのEU離脱も含めて、国際情勢が大きく変化しつつある。
というか、元に戻りつつあるのではないか、と思う。
イギリスとアメリカという二大民主主義国家がグローバリズムという
幻想を捨て去り、本来の国民国家へ回帰していく、というのは
自然な流れといえるのではないだろうか。


人間が帰属意識を感じることができる集団の規模には限度があるから、
「世界規模のグローバリズム」のような人工的なフォーマットなど
成功するはずがなかった。
経済的恩恵よりも国民国家としてのナショナリズムを選択したのが
イギリスの国民投票だった。
しかし、多くの日本人がその結果を冷笑し、せっせとTPP法案の準備を
進めてきた結果がこれである。
一国の首相たる者が、世界の潮流を読めなかったのだ。
これだけでも世界中の笑いものになってもおかしくない失態である。


TPP法案については、山本農水相の失言という身内のエラーを生かして
先送りにすることも出来た。
しかし、今週内の衆議院通過にこだわり、山本の更迭も行わなかった。
「どうせ、クリントン氏が勝つだろう」と高を括っており、
アメリカが自分たちの味方になれば野党なぞ何とでもなる、と
完全に慢心していたのだ。

もはや、既定路線を粛々と進める、という手法は完全に通用しなくなった。


トランプ氏が大統領に就任すれば、従来の「なあなあ外交」なぞ
足蹴にされる。
在日駐留米軍が撤退すれば、日本はいよいよ自主防衛に乗り出さざるを
得なくなる。
それを、安倍が主導できるのか?


先行きの不安感から市場は必然的に円高となり、輸出企業にさらなる
打撃を与える。
株価もそう簡単には上がらないだろう。
それでなくともアベノミクスの成果を全く出せず、日銀の異次元緩和も
空振りに終わったのだ。
全く別のベクトルが必要になってくるであろう経済政策を
安倍が主導できるのか?


私は、少し対応を誤れば、安倍内閣、ひいては自民党は致命的なダメージを
受けるだろう、と予想する。
今の自民党は安倍シンパだらけであり、安倍はアメリカシンパである。
そのアメリカが「変わった」のだ。
もはや、安倍にすがっていれば選挙に勝てるとは言えなくなってきたのだ。
勝てない安倍はただのアベである。


今回の選挙結果は、世界は「変わる」のだという当たり前の事実を
あらためて我々に突きつけた。
一方、安倍内閣は「このまま変わらない」という状態を前提にした
施策しかとっていない。
これで、TPP法案も、自民党総裁任期延長も、自民党改憲草案も、
稲田朋美次期総裁養成プランも、全てがおじゃんである。

「世の中、意のままになって当たり前」と傲慢になった権力者に
ようやく冷や水がかけられたのだ。


そういう意味では、イギリスのEU離脱も含めて、2016年は非常に
有意義な一年となった。
一応強調しておくが、私は別にトランプ氏の人格や言動を支持している
わけではない。
アメリカ国民が悲嘆にくれようとも、知ったこっちゃない。
他国の内政を案じている暇など、これっぽっちもないのだ。
とにかく、日本はここから「変わっていく」大きなチャンスを得た、
というだけのことである。