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日本を見限るトランプから日本は自立できるのか

御存知の通り、アメリカ大統領線でトランプ候補が勝利した。
「大番狂わせ」と報じられているが、個人的にはどちらが勝っても
おかしくないと思っていた。
それだけアメリカ国民の感覚は、日本人が容易に推測できるものではない、
ということだ。


問題は、今後の日本の対応である。
安倍内閣に限らないが、日本政府はとにかく対米追従路線をずっと踏襲して
きたところに、大きな分岐点が訪れたのだ。
「どうせクリントン候補が勝つだろう」と高をくくってTPP法案を強行採決
している場合ではなくなったのである。


早速、明日の国会から試練が訪れる。
トランプ候補TPP反対派だから、日本が無理してTPP法案を可決する理由は
なくなってしまった。
元より、皇室典範改正やパリ協定批准を後回しにしてまでTPP法案について
審議する必要性は全く無かったのだ。
民進党のある議員が記者団に語ったように、一夜明けて日本がTPP法案の
衆議院通過を可決すれば世界中の笑いものになる。
自公および日本維新の会がどのような対応を見せるのか、大いに注目される。


話はTPPだけではない。
トランプ候補は、「なぜ、日本の安全保障をアメリカが負担しなければ
ならないのか」と疑問を呈して、日本に駐留しているアメリカ軍を
撤退させる、と選挙演説で宣言した。
あくまでアメリカ国内の立て直しが重要だから、日米同盟や安保体制などに
気を配っていられない、というわけだ。


当然至極の論理である。
今までが歪な形だったのだから。
冷戦体制が終結し、中ソからの共産主義勢力拡大の脅威が去ったので、
アメリカとしては「もう日本は自力で自国防衛してくれ」ということになる。
私は別にトランプ候補を支持するわけではないが、こうしたかたちで
安全保障上の矛盾が噴出した結果となるならば大歓迎である。
つまり、日本がアメリカの核の傘から抜け出し、自立した国家となる
チャンスがようやく到来したのだ。


さて、これを受けて安倍はどのように対処するか。
クリントン候補の勝利ありき」で強行採決したTPP法案の落とし前を
どのように付けるのか。
安保法制や日米地位協定はどうなるのか。


安倍はアメリカの腰巾着として日本国内で権勢を振るっているというだけの
単細胞だから、予想し得なかった前例のない事態に対応する能力は
ないだろう。
言うなれば、飼い主の足元にじゃれつく子犬でしかなかった。
しかし、ついに飼い主から足蹴にされる可能性が高くなったのだ。


ここで安倍が自分のメンツにこだわった弱腰路線を貫くと、
12月に予定されている日露首脳会談にも影響が出て来る、と見る。
プーチン大統領は、弱みを見せた安倍に北方領土を変換するような
お人好しではないだろう。
そうなると、年明け早々の衆議院解散などと言っていられなくなるかも
しれない。


要するに、安倍内閣の政策はほとんどが希望的観測のみに基づいていた、
ということである。
アメリカの大統領は「既定路線を外さない常識人」が就任する、という
思惑に寄りかかりすぎていたのだ。
このような時代になれば、アメリカを最重要視するのではなく、
「ワンオブゼム」と相対化する視点は必要だろう。
それが出来なければ、自立した国家とはいえない。


野党としてはチャンス到来である。
ただでさえ、山本農相に不信任決議案を叩きつけようという勢いである。
結果ありきの国会運営はきちんと否定せねばならない。


こういった国政の変化が、内から生じたわけではないというのが
情けないところではあるが、政治家も有権者も「日本の在り方」について
熟考する大きな機会だ。
明日以降の国会の動きに注視しよう。