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巨悪を批判できないマスコミ

今朝の毎日新聞に、問題となっている豊洲新市場の地下空間について
石原慎太郎が前言を撤回して「都幹部に検討を指示した」ことを認める
記事を掲載していた。
これで問題の根源はやはり石原にあったことが確定したのだが、
なぜか扱いが小さいのだ。
何と社会面の右下隅に小さく掲載されている。
非常に重要なニュースなので、この発言をベースにして石原都政の
負の遺産を検証する記事を仕立て上げてもよかったはずなのだが。


そもそも石原のインタビューに対するコメントがおかしかった。
自分は建築に関しては素人なのでこうしようと指示することはない、
完全に任せきっていた、と発言。
そして、今回の問題発覚について、だまされた、都庁は伏魔殿だ、と
まるで自らも被害者であるかのようなアピールをしている。


しかし、石原に限らず知事の立場にある人間が建築に関して素人で
あるのは当たり前であり、だからこそ専門家会議が設けられるのだ。

知事はそこで得られた見解を都幹部に指示すればよい。
ただ、それがきちんと遂行されるのかどうかのチェックを怠っては
いけない。
そういう意味で「任せきっていた」というスタンスは大きな過ちである


「だまされた」という表現は、下から上げられてきた報告が虚偽であったり、
意図的な隠蔽が施されていた場合にのみ用いられる。
石原はろくなチェックもせずに書類に判を押し、右から左へ流していた
だけなのだから、「だまされた」わけではない。

都幹部としても、当の石原から検討の指示を出されていたのだから、
その意に沿う報告で「だました」という意識はないだろう。
また、仮に都庁が「伏魔殿」というほどに腐敗しているのだとすれば、
そういった現場を作り上げたのは石原本人である。


何しろ、石原は週に3日ほどしか登庁していなかったのだ。
残り4日間は都幹部でも居場所が把握されていなかったらしい。
つまり週休4日でやりたい放題に遊んでいた、ということだ。
トップがこれだから、当然ながら現場の緊張感は低下する。
監視する者がいないのだから、職員も適当にやりやすいように仕事を
させてもらおう、ということになってしまう。
こんな環境が12年間続いていたのである。


ところが、権力を監視すべきマスコミが、石原に対する追及について
及び腰である。

先に述べたように、毎日新聞は石原の発言について非常に小さな扱い。
左寄りの毎日新聞ならば、大物右翼である石原の言動は大いに批判して
しかるべきなのに。
テレビのワイドショーや情報番組でも、石原の発言に触れはするものの、
基本的にお咎めなし。
あくまで都幹部が悪であるというスタンスを貫き、誰が地下空間案を
決定したのか、という不毛な犯人捜しに躍起である。


振り返ってみれば、石原都政時代において既にマスコミはその悪行ぶりを
追及しなかった。
豪華客船でのんびりクルージングしたり、海外視察で自分だけではなく
側近全てをファーストクラスに搭乗させたり、ホテルでは階段や
エレベーターから離れたところのスイートルームを予約するように
厳命したり(石原は就寝中でも物音に敏感なため、階段やエレベーターが
部屋の近くにあると眠れないらしい)といった贅沢三昧は、あまり報道される
ことはなかった。
恐らく、フリーのジャーナリストらによる仕事で、こうした事実が発覚した
のだろうと思う。
マスコミの報道がしっかりしていれば、都民が4期連続で石原を当選させる
ことはなかっただろう。


ただ、石原はさすがに大物右翼なので、少々の批判に対してはどんと
構えていて微動だにしない。
ほとんどの発言は計算した上でのものだから、自信に満ちあふれている。
だから、何となく「ああ、そういうものなのか」と納得させられて
しまうのかもしれない。


それに比べると、猪瀬や舛添はいかにも小物だった。
言い訳が下手くそだから、簡単に都民の反発を買ってしまった。
特に今年の舛添バッシングは全国的にヒートアップし、恐ろしいぐらいの
狂乱ぶりだった。
舛添のセコさなどは、石原の豪遊の足元にも及ばないのだが、
仮に石原が堂々と「これの何が問題なのか」と言ってのけたならば、
「ああ、そういうものなのか」「我々とは世界が違うんだな」と
納得するしかなくなってしまうのだろう。


つまり、今のマスコミは、巨悪を叩けないのだ。
何となく萎縮してしまっていて、新聞もテレビも無難な内容になって
しまっている。


私などは、安倍晋三は巨悪だと思っている。
もっとも石原ほどに弁が立つわけではなく、「日本会議」系のイエスマン
相当に助けられている感触はあるが、それでも国の最高権力者なのだから
巨悪である。
何しろ、アベノミクス格差社会を助長し、天皇陛下のご意向を無視し、
拉致問題解決についても「対話を続ける」と言っただけで進展させる
つもりはこれっぽちもない。
本来ならば、マスコミは安倍をもっと叩いてしかるべきなのだ


だが、その気配が全くない。
いまだ内閣支持率が5割近い数字を示しているのも、国民が安倍の所業に
ついて無関心だからなのだろうか。


マスコミが権力に対する監視を怠り、それにより国民が政治について
無関心な態度に陥ってしまうのであれば、これはかなり恐ろしい事態
なのではないか、と思う。