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劣化しているのは「ネトウヨ」だけではなかった

Facebookで奇妙な投稿を見かけた。
私はその投稿者は全く知らないが、繋がりのある人が投稿をシェアしていたので、
目に飛び込んできたのだ。
これを読んで、左翼もネトウヨ並みに劣化しているな、とあらためて認識した。
絶対に流行らない言葉だが、「ネトサヨ」という言葉を使ってもいいかも、
と思ったぐらい。


内容からして、投稿者は共産党員か熱烈な共産党支持者のようだ。
そして、東京都知事選の出馬を辞退した宇都宮健児氏が、右翼系論壇誌である
『正論』のインタビューを受けたことを猛烈に批判している。
そして、「我々の敵になった」という過激な表現まで用いている。


この投稿を読んで私がまず最初に感じたのは、この投稿者は実際の記事を
読んでいないな
、ということだ。
「野党共闘の”被害者”」という見出しだけに過敏反応している。


Facebookというのは確かに閉じられた言論空間で、自由に私的な投稿を
行えるが、さすがに憶測だけで人を批判するのは見苦しい。
インタビューで宇都宮氏が何を語ったのかを知らないままだし、
「野党共闘の”被害者”」という見出しを宇都宮氏がきちんと受け入れたのかも
分からない。
全てが表紙を見ただけの憶測に基づいている。


さらに驚いたことに、この投稿者は宇都宮氏が「自ら被害者ぶることにより、
極右に媚びたのだろうか」とまで踏み込んだ批判を展開している。
この発想は、ちょっと出てこない。


投稿者は「赤旗」ばかり読んでいるから世の中が見えていないのかもしれないが、
客観的に見て宇都宮氏は立派な野党共闘の被害者である


前回の都知事選で、宇都宮氏は舛添に次ぐ第2位の得票数だった。
小池百合子氏に勝てたかどうかはともかく、共産党を含む野党連合の推薦が
あれば勝機がある、と宇都宮氏が考えていたとしてもおかしくはない。
ところが、当の野党連合がその思いを蔑ろにした
知名度重視で、鳥越俊太郎の推薦でまとまったのである。
結果、宇都宮氏は自分が鳥越票を食ってしまうといけない、と野党連合の
意図を汲んで出馬を辞退したのだ。
自分が当選しなくても、志を同じくする著名人が当選するのならば、
敢えて身を引こう、ということだろう。


ところが、鳥越の選挙活動はデタラメの連続だった。
「ガン検診率100%」「憲法改正阻止」「脱原発」など、明らかに都知事候補
としてはズレた発言ばかり行う。
結局、鳥越は小池氏に100万票近い差をつけられて惨敗。
これを見て宇都宮氏は「こんなはずでは」と驚嘆しただろう。
そして、知名度だけを優先させた野党連合、特に前回推薦してくれた
共産党に失望したのだ。


本来、政治的立場を考えて筋を通すならば、共産党は単独でも宇都宮氏を
推薦すべきだった

恐らく、鳥越など消し飛ぶぐらいの票を得た可能性がある。
しかし、共産党はその道を選ばなかった。
共産党にとって何より重要なのは、野党連合の維持だからである


先の参院選において、野党連合で最もオイシイ思いをしたのは共産党である。
何しろ、議席を増やすことに成功したのだから。
しかも、民進党との共闘を強調することで「自分達は極左ではない、反自民だ」
と堂々と発言できる。
当然、この結束を次の衆院選まで持ち越したい、と考える。


ただ、当の民進党参院選議席を減らしたので、都知事選では顔を立ててやる
必要があった。
無理して単独行動に及ぶと、野党連合解消の理由を作ってしまうことに
なるからだ。
だから、誰もが「まず勝てないだろう」と思う鳥越の推薦にも「従った」のだ。


実際のところ、共産党にとっては都知事選の勝敗はどうでもよかった
野党連合の中心である民進党参院選で敗北したにも関わらず、
続く都知事選でもその共闘が維持された、という既成事実こそが重要だった。
これで民進党は、党代表選の結果にも依るが、野党連合を解消するのが
難しくなったかもしれない。
つまり、宇都宮氏は共産党選挙対策のために「切り捨てられた」のである。


宇都宮氏がそこまで考えて、共産党に見切りを付けたのかどうかは分からない。
でも、私のような素人でも、普通にニュースに接していればこれぐらいの
分析は出来る。


ところが、共産党に完全に取り込まれている党員は、こんな簡単な思考すら
働かない。
いわゆる「党執行部マンセー」だから、党に楯突く人間は全て「敵」と
見なしてしまう
のだ。


ちなみに、投稿者がシェアしていた記事のリンクを試しにクリックしてみると、
さらにおぞましい発言が掲載されていた。
当たり前の感性を持っている人が「憶測だけでモノを語ってはいけない」と
たしなめると、別の人間が「ネオナチ派右翼雑誌に身を売ったのだから、
何を言ってもよい」といったようなやりとりが交わされていたのである。
メディアリテラシーも何もあったもんじゃない。


こういう左翼連中は、メディアは「赤旗」「朝日新聞」「世界」ばかり
読んでいるのではないか、とマジで勘ぐりたくなる。
ならば、「産経新聞」「正論」「WiLL」ばかり読んでいるネトウヨ
同じではないか、と思う。
自分の思想は完成している、と思いこんでいるから、新たな知識や視点を学ぼう、
という発想がなくなっているのだろう。


少し視野を広げれば、このような従来ながらの「左翼対右翼」という対立軸など
とっくに陳腐化している
のはすぐに分かるのだが。
保守とリベラルがお互いを刺激し合うという議論の場は成立しているが、
今時「左翼」「右翼」というレッテルは脳が硬直化した人間に対してでしか
用いない。


というのも、こういう化石人間はポジショントークしか行わないからだ。
常識的な国民はそういう言論にうんざりしているから、左翼も右翼も
疎んじられている。
実際、左翼から嫌われていると思われる小林よしのり氏は、自らのブログで
都知事選では宇都宮氏に投票したい、と表明していた

かつて共産党に推薦されていた、という事実はさておき、都政のことを考えれば
宇都宮氏しかいない、という判断だったらしい。
しかし、宇都宮氏が出馬辞退したため、投票は棄権したそうだ。


小林氏関連で言えば、かつて『戦争論』を出版したときには激しく対立していた
田原総一郎氏とは、「安保法制」や「天皇の生前退位」という論点においては
立場を同じくしている。
きちんと自分でモノを考える人間ならば、こういう動きは当たり前のこと
なのだろう。


ひょっとして、「ネトウヨ」も「ネトサヨ」も現実を知るのが怖いのだろうか。
だって、現実世界では自分達は用済みの人間でしかないのだから
それを認めたくないから、一生懸命に目と耳を塞いでいるのだろう。
ネットという格好の遊び場が出来たから、何とかアイデンティティを保って
いられる、といったところなのだろうと思う。