トランプ大統領に恐れおののく政治家や知識人

最近、日本のマスコミはどこもかしこも「トランプ、トランプ、トランプ」
である。
TPP永久離脱の大統領令や日本を名指し批判したツイッター発言については
報道するのは分かるが、メキシコとの国境の壁や難民移民制限など
日本との関連が薄いニュースをそこまで強調すべきだろうか。
どうも、視聴者の不安をいたずらに煽っているように思える。


しかし、これほど分かりやすい大統領というのも珍しいのではないか。
何しろ、アメリカを再び偉大にする事「だけ」に徹底的にこだわっている。
実行している事は、全て選挙活動時に公言した内容に基づいたもの
ばかりである。

TPP永久離脱も、アメリカ国内の雇用促進も、メキシコとの国境の壁も、
難民移民制限も、全て有言実行である。
単に大統領令を発行するのが早いだけのことで、今更驚くことではない。


辛坊治郎読売テレビの「す・またん」という番組で、トランプ大統領の
就任演説について、
「人権や自由について全く触れなかった。アメリカを偉大にする事ばかり
強調していた」
と批判した上で、
「こんな人間に核のボタンを渡してよいものか」
と注意を喚起していた。
いやいや、トランプ大統領が無駄に戦争を仕掛ける事は有り得ない。
ジョージ・ブッシュが無理難題をふっかけて起こしたイラク戦争を、
トランプ大統領は「金の無駄だ」と批判しているのだ。
同時に「アメリカは世界の警察である事をやめる」とも言っている。
有言実行のトランプ大統領が、自身の発言を翻す事はない。
ブッシュが核のボタンを握っていた時代よりも、遙かに安全なのだ。


また、最近知った事ではあるが、メキシコからの不法移民は日本人が
認識している以上に深刻なものであるらしい。
メキシコのニエト大領は国民に重い税金を課しており、それにも関わらず
景気が全く良くならないので、大統領支持率はたったの12%なのだそうだ。
自国で食っていけないのならば、メキシコ人がアメリカへ移住していく
事情も納得できる。
放置していれば、「壁が出来る前に、アメリカへ出国しなければ」という
心理から、不法移民は急増することだろう。
事は急を要するのだ。


メキシコ人が抗議デモを起こすのは当然である。
一方で、ニエト大統領が「壁の建設費など、払わん」と憤慨しているが、
当人が元凶をつくっていたのだ。
日本のマスコミも、どうせ報道するのならばこうした事情をきちんと
解説しなければならない。
単に「トランプって、怖い」というイメージを作ることばかりに
奔走していても仕方がない。


そんな中、笑って良いのかどうか迷うニュースも見掛けた。
何でも、ある首相官邸幹部が「まさか、選挙演説で言っていた事を本当に
実行するとは思わなかった」
と発言したらしい。
何と、甘っちょろい認識だろうか。
あれらは全てパフォーマンスで、大統領に就任すれば大人しくなる、
従来の大統領と同じように振る舞う、と思っていたようだ。
アメリカの白人保守層にがっつり支持されて当選したのだから、
実行するに決まっているだろう。
安倍晋三のように、「新しい判断」などと意味不明のフレーズで
公約を蔑ろにすることなど有り得ない。


麻生太郎は、国会で「トランプが最大の不確定要素だ」と発言した。
公の場での発言なので、きちんと「大統領」の肩書きを付けるべきだと
思うが、それはともかくこの期に及んでトランプ大統領の行動が
読めないらしい。
上述したように、私のような素人でも「分かりやすい」と認識できるのに、
副首相がこの程度の認識である。
さすがに「みぞうゆうな元首相」だ。


自民党は、いまだにTPPへの未練を断ち切れないでいるのだろうか。
何度も書いているが、トランプ大統領が前言撤回することなど有り得ない。
ましてや、「2016年版・世界で最も影響力のある人物ランキング」の
37位どまりだった安倍晋三が、2位のトランプ大統領を説得できるわけが
なかろう。


それよりもリアルに考えるべき事項は、日本の防衛体制だろう。
トランプ大統領は、選挙活動時に「日本はもっと防衛費を負担すべき。
さもなければ、米軍は日本から撤退する」
と明言した。
当然、その要求をぶつけてくるだろう。
その場合、安倍はどのように返答するのか、決めているのだろうか。


早ければ、来週の日米首脳会談でその交渉が行われるだろう。
トランプ大統領は自分の政策が急進的だと理解しているから、
さっさと大統領令を発行して、結果を出すことの重要性もきちんと
認識している

最大2期8年の任期で、どこまで国内の改革を進められるかの瀬戸際だ。
だから、公言した事はどんどん実行していくはずなのだ。


安倍はTPP参加への理解を求めていくつもりだろうが、そんな「終わった事」
など一顧だにされないだろう。
結局、防衛費負担増大という負の土産だけ押しつけられて、
日米首脳会談は終了する
と思う。


本来は、来たるべき自主防衛について議論する大きな機会ではあるが、
さすがに他にも問題が山積している上、安倍政権下での憲法改正には
私は反対なので、今後の課題として留め置いておくしかない。


とにかく、トランプ大統領に関しては、日本のマスコミも政治家も知識人も
要らぬ事に心配をしながら、考えるべき事から目をそらしている、という
状況だ。
グローバリズムが崩壊し、「新自由主義」とやらに基づく自由貿易
妨げられると、たちまち戦争が発生するとでも言わんばかりの勢いである。


アメリカの大統領が「アメリカ・ファースト」を掲げるのは当然のこと。
日本も同様に「ジャパン・ファースト」を是とすればよいだけのことである。

高森明勅『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)

私を含む一般庶民の8割は、天皇陛下の「生前退位」に賛成している。
それを可能にするための恒久法の制定にも賛成している。
普通に天皇や皇室を敬うのであれば、こうした感覚になる。
庶民は専門的知識を持ち得なくても、常識的感覚を備えている。
これこそが、国民が天皇陛下のことを思い、天皇陛下が国民に寄り添う、
という「象徴天皇制」の理想的な形である。


しかし、「私的な知識」を振りかざして、陛下の思いと庶民の感覚を
封じ込めようとする輩が存在する。
「庶民は何も知らないから、判断を誤った"大衆"化する」とばかりに、
それらしい理屈をこねて「私的な思想」の正しさを強調する輩が存在する。
「自分たちの判断こそが正しい」と、陛下にも背く「エセ保守」の連中だ。


そうした流れの中で出版されたのが本書である。

高森明勅先生は、神道学者であり皇室研究家である。
天皇に関する著書も多い。
真正な尊皇派として影響力のある専門家の一人である。


本書において高森先生は、以下の2点に重きを置いたと思われる。
1)庶民に皇室についての専門知識を分かりやすく解説する
2)皇室典範改正草案を具体的に示し、手続きが困難ではないことを証明する

こういった内容を読む事により、我々庶民は常識的な感覚に理論的根拠を
得ることが出来るのだ。


普段はブログで毒を吐く事もある高森先生だが、本書では感情的な表現は
極限にまで抑えられている。
皇室の歴史、日本国憲法皇室典範、そして陛下の「お言葉」といった
客観的事実に即し、どういった判断が合理的かつ理性的かという見解を
述べる事に徹している。
加えて、法律の専門家でもないのに皇室典範改正草案を作り上げた
というのは、いわば実証主義ということになるだろう。
「たったこれだけの改正で充分」と、自ら叩き台を示してみせたのだ。


果たして本書の内容に対して、「エセ保守」は反論できるのだろうか。
憲法に抵触する」「権威が二分化する」「強制退位が可能になる」
「歴史的に混乱した時期がある」といった連中の主張を、
高森先生はとごとく摘み取ってしまっている。
憲法学者やジャーナリストら「皇室専門外」の人間は、本書が提示した
客観的事実をどのように捉えるのか。

庶民は本書のおかげで連中よりもきちんとした専門知識を得たから、
従来の自説を強弁しても偽りだらけだと見抜かれてしまう。


また、皇室典範改正には「時間がかかる」「リスクが高い」と判断した
政治家や有識者の連中は、当然ながら本書の草案に対して何らかのコメントを
出さなければならない。

恐らく現時点では唯一と思われる草案を無視してしまうのならば、
庶民は「陛下の思いを叶えようとしない怠慢な行動」と判断する。


本書が買い求めやすい新書という形式で出版されたのが、何とも嬉しい。
とにかくきちんとした知識を広めたい、という高森先生の意志が感じられる。


まずは「知」の面において、尊皇派からの逆襲が始まった。
次に小林よしのり先生の『天皇論 昭和29年』が出版されれば(2月下旬予定)、
「情」の面も含まれた鉄槌が下される。
両書を得た庶民は完全無欠に近くなるが、それでも「エセ保守」は自説に
こだわり続けることが出来るのだろうか。
自らの誤りに言及せず、のうのうと知識人人生を送ろうとする輩が
存在するとなれば、そうした逆賊は「天皇制反対」を明確に主張する
左翼やリベラルよりも人間的に劣る。

自国企業を守れない弱腰日本政府

いわゆる「トランプ砲」なるものが物議を醸している。
時期的にトランプはまだ民間人の立場ではあるが、次期アメリカ大統領とも
あろう人物がツイッターで好き放題にメッセージを撒き散らすというのは
非常識である。
そんな「トランプ砲」が日本にも飛んできた。
あろうことか民間企業のトヨタを名指しして、メキシコでの工場建設計画を
真っ向批判してきたのだ。


民間企業は自社の営業利益の向上に努めればよいだけで、法から逸脱する
ことがなければ営業戦略について他者からどうこう言われる筋合いはない。
かつて、日米貿易摩擦による「ジャパン・バッシング」が巻き起こった時
であっても、自動車メーカーが名指し批判されることなどなかった。
それだけトランプの言動が反知性的と言えるのだが、結局はトヨタ
豊田章社長がアメリカの自社工場に追加投資を行うことを発表して
ひとまず事態は収まった。


しかし、これはゆゆしき問題である。
もちろん、トヨタの対応は責められるべきではない。
日本政府が完全に沈黙を保っていたことが問題なのである。

上述したように、民間企業は利益向上が主な仕事である。
本来、トランプのような人間をなだめすかすのは、政府の仕事なのだ
官房長官でも世耕経済産業大臣、あるいは安倍首相でも誰でもいいから
トヨタ側に立って「トランプの批判は不合理である。受け入れられない」
と公式に発言すれば良かった

そうした政府の担保があってこそ、トヨタは営業に専念できるのである。
民間のトヨタが公的な「外交」に配慮して追加投資を発表するなど、
異常事態である。


水面下で何らかのやりとりがあったのかもしれないが、結果的に政府は
トヨタを見殺しにしてしまった。
日韓少女像問題で韓国を批判することには執心していた自民党だが、
対米となると一気に口が塞がってしまうのだ。


恐らく、トランプの機嫌を損ねたくないのだろう
安倍も菅も、いまだにトランプがTPP離脱表明を翻してくれること
期待している。
だから、特に経済政策においてトランプを刺激することを避けているのだ。


全く情けない話だ。
トランプは策略家だから、その辺の事情は見抜いているのではないか。
TPP離脱を表明するだけで、勝手に外交カードが転がり込んできたような
ものだ。
日本政府が「沈黙の譲歩」を行ったことは、トランプは絶対に憶えている
だろう。
今後、このカードを振りかざしつつ、既成事実としての「前例」に
基づいて、好き放題にいろいろと要求してくるかもしれない。


ここまで交渉事に弱いくせに、TPP参加を謳うのだから呆れ果てる。
万が一、TPPが実現してしまうと、国内の産業は外資に食い物にされて
しまうだろう。


何しろ、日本政府に自国の企業を守るという意志がないのだ。
それよりも自己保身や私利私欲を優先させているのだ。
アメリカに「実効支配」されて平気なのだ。
こんな政権に「美しい国 日本」などとほざく権利はない。

少女像設置騒動の根元にあるもの

韓国の釜山にある総領事館前に少女像が設置された抗議活動に対し、
日本政府が報復として在韓大使らを引き上げさせた。
マスコミは「改善しかけていた日韓関係がまた悪化」と報じている。


しかし、本当に日韓関係は「改善しかけていた」のだろうか。
2015年末の「日韓基本合意」に反対した韓国国民は約6割。
その時点で既にわだかまりは存在していた。
今になってそれが顕在化したのは、韓国国民の不満の矛先が一時的に
朴槿恵政権に向かっていたためかもしれない。


私は中途半端な「合意」を締結した安倍外交の失敗だと思う。
合意文書をきちんと読んだわけではないのだが、日本側にとって大きな
メリットがない内容だったのだ。
一応、日本は慰安婦に対する補償として10億円を拠出するのに対して、
ソウル大使館前の少女像の撤去を求めた。
大使館前に政治的主張を訴える物を設置する行為は国際条約違反、という
日本側の主張は根拠があるため、韓国に遠慮する必要はなかった。
しかし、肝心の「少女像撤去」は合意文書では明文化されず、
「韓国政府は解決のために努力する」という口約束による努力規定しか
取り付けることができなかった


結局、韓国政府は10億円をもらって元慰安婦に給付しただけで、
大使館前の少女像はいまだに撤去されていない。
元より朴槿恵政権は支持率が低く、先述したように「合意」に反対する
韓国国民も多かったので、無理して波風を立てる必要など無かった
そりゃあ、「努力」さえしていれば10億円もらえるのだから、
こんなにオイシい話はない

日本は丸損しただけだった。


安倍首相は朴槿恵大統領に、電話で「反省とお詫びの気持ち」を
伝えたらしい。
これで慰安婦問題を打ち止めにしたかったのだろうが、完全に裏目に
なってしまった。
次世代に禍根を残す結果となったのだ


昨年の対米・対露外交と同じだ。
安倍は「その時さえ良ければ」「自分のイメージさえ良ければ」という
場当たりの外交しか行わない。
相手にボールを投げ渡す「攻撃」も出来ないし、ここは絶対に譲れないと
主張する「防御」も出来ない。

国際社会に通用するはずのない「世間体」という概念にとらわれて
しまっている。
こんなことで一国の首相が務まるはずがない。


二階幹事長が「韓国は面倒な国だ」と発言してネトウヨから絶賛されて
いるが、そんなことは既に分かっていたことである。
同じアジアの国とはいえ国民性が全く異なるのだから、それを織り込んで
外交を行うのが当然の態度である。

言ってしまえば、トランプだってプーチンだって「面倒な人間」なのだ。
それに対処できなかった失敗を棚上げして、後からブチブチと文句を言う
のは単なる駄々っ子である。


韓国に対しては、基本的に放っておいてよいと思う。
ネットの普及により、日韓関係の正しい歴史が韓国の若者に認識される
ようになってきた。
伊藤博文を暗殺した安重根を英雄視する人も徐々に減っているらしい。
歴史認識が改まればそれで良いのだから、ある程度は世代交代による変化に
期待を寄せても問題は無いように思う。


外交能力の欠けたエセ保守首相が、下手に功績を求めたものだから
大火傷をしてしまった、というのが今回の一件ではないか、と感じた。

男系固執派がすがりつく「宮サマ」

しばらくブログ更新をお休みしていたのだが、年が明けてからすぐに
アクセス数が100を超したというお知らせがあって驚いた。
アクセス解析を見てみると、どうやら「竹田恒泰 朝生」「竹田恒泰 バカ」
といった検索ワードでこちらに到達したようである。


何でも2016年大晦日の深夜に放映された『朝まで生テレビ』に竹田恒泰
出演しており、相変わらずの言動を発揮していたとのことだ。
リベラルの重鎮・井上達夫氏から「そんなことを言っていたら、天皇制は
滅びてしまうぞ!」と批判されてしまったらしい。

天皇制反対派の井上氏からそのように指摘されてしまうのだから、
相当な妄言を吐いていたのだろう。
録画しておけばよかった。


私は昨年8月末の『朝生』で初めて竹田の「天皇・皇室」論に触れた。
相当にクレイジーな考え方であり、口調や表現も他人を侮辱したものが
多かったので、バカ丸出しだったと書いた。
しかしその後、信頼できるネットコンテンツで竹田のことを知るうち、
奴は「単なるバカ」ではないのだと認識した。


竹田は「竹田研究財団」なる団体の代表である。
ところが、その団体のナンバー2が詐欺容疑で逮捕されてしまった。
そこで『ゴー宣道場』の泉美木蘭先生が登記簿を取り寄せて調べたところ、
非常に怪しげな事実が次々に発覚した。
泉美先生が『ゴー宣道場』のブログでさわりの部分だけ紹介しており、
有料メルマガ『小林よしのりライジング』ではがっつりと書き込んでいる
ので、気になる方は閲覧してみるとよいだろう。


そういった諸々の記事を読んだ限りでは、竹田はいわゆる「宮サマ詐欺」に
近い行為を続けていた可能性が高い。

自身の「明治天皇の(女系の)玄孫」という肩書きを目一杯利用し、
「ありがたい勉強会」「ありがたい修行活動」から名義貸しなど、
様々である。
一部の成り上がり富裕層は権威を欲するから、竹田と交流することによって
自分に箔を付けたがるのだ。
また、「自分は尊皇派」「自分は愛国者」という自意識を得ることも
できるから、ヒマだが金のある連中は面白いように金を出す
のだろう。


当然ながら、竹田はその事業を死守する。
せっかくの金づるを手放すわけにはいかない。
そのためには、自分の主義主張を揺るぎなく貫き通す必要がある。
客観的に見て「トンデモ論」でもあっても、何かとそれらしく相手を
論破しなければならない。
やたらと耳に障る声で口角泡を飛ばす喋りを展開するのは、
一種のパフォーマンスなのかもしれない。


泉美先生や小林よしのり先生は、これは一種のカルト宗教なのだろう、と
考えている。
竹田支持者は、オウム信者と同じで日常生活にやりがいを見出せない
「自分の人生、こんなはずじゃなかった」派が多いのではなかろうか。

竹田がそこまで見抜いているのかどうかは不明だが、
とりあえず自分を偶像化して金を稼ぐノウハウは手中にしているようだ。
そういう意味では「単なるバカ」ではなかった。


竹田恒泰の他、百地章八木秀次というエセ保守の考えも、「バカ」と
一口でくくれないような「妄想」のレベルにまで到達している。
連中はどうせ先は長くないだろうから、自分の目が黒いうちは皇室典範
改正されないままであればそれで良い、というぐらいの考えだろう。
しかし、竹田はいつまでこんなことを続けるつもりなのだろうか。
上手く世を渡り歩く「大悪人」には見えないので、そのうち尻尾を出す
ような気もするのだが。

オスプレイ飛行再開に感じる事

先週、沖縄で事故を起こしたオスプレイが、早々に飛行再開の運びと
なるらしい。
米軍側からは、空中給油訓練でホースがプロペラに接触したものであり、
機械系統の故障ではない、というコメントがあっただけだった。
直接的な原因や再発防止策など、具体的な説明は一切ない。


こんないい加減な対応であるにも関わらず、安倍政権はあっさりと
飛行再開を容認してしまった。
次に同様の事故が発生したら、どのような説明をするつもりなのだろうか。


政府がアメリカに厳重な抗議を行う事が出来ないのには、理由がある。
日米安保で「守ってもらっている」という立場――つまりはアメリカの属国
だから、ご主人様に楯突く事がタブーである
、というのが理由の一つ。
もう一つは、政府が強引にオスプレイ導入を推し進めた経緯があるため、
というものだ。
当時、オスプレイは操縦が難しくて危険だ、海外での事故例がいくつも
報告されている、とマスコミはオスプレイ導入を徹底批判していた。
しかし、政府はそれらを完全に無視。
何らかの利権が絡んでいるのかもしれない。
ともあれ、政府としては「オスプレイは危険」と追認したくないのだ。


こんな体たらくな状態であれば、直接被害を受けている沖縄が声を上げる
のは当然ではないか。


翁長知事は、「不時着ではなく墜落」といったやや行き過ぎの発言も
しているが、抗議は正当な行為である。
政府が何の対応も行わないのだから、地域の安全や秩序を守るためには
知事が県民の声を代弁していくしかない。


例によってネトウヨは翁長知事に対して冷淡な反応を示している。
沖縄県知事が国の政策に口を出すな、ということなのだそうだ。
その「国の政策」が全く信用できないものだから、自治体の代表が
国にもの申しているだけなのだが、何か問題があるのだろうか


そもそも、ネトウヨ来年になるとオスプレイが東京の横田基地にも
配備される
、という重要な事実を忘れている。
既に横田基地のある福生市の住民は抗議活動を始めている。
地方は国に従うべし、というのならば、ネトウヨはこうした活動も
否定しなければならない。


蛇足だが、ネトウヨはいまだに「翁長知事が親中」という未確認情報に
こだわっている。
尖閣諸島への中国からの不審船侵入について翁長知事が沈黙しているのは
そのためだ、と信じ込んでいる。
しかし、尖閣問題こそ国が解決すべき事項だろう。
何しろ石原慎太郎東京都知事時代に「尖閣を都で買い取る」と言い出した
のを国が制して、国有化したのだから。
中国はそれに敏感に反応し、不審船の数はそれまでよりも増えてしまった。
この落とし前は、国が付けなければならない。


あと、一応強調しておくが、私は別に翁長知事を支持しているわけでも
何でもない。
沖縄が一枚岩ではないことは明白で、基地問題に関しても様々な意見が
あることは知っている。
最終的には日本が自主防衛に転じて、国内から米軍基地が一掃されれば
ベストだろうと思う。
もっともその実現には時間がかかるので、基地を抱える地域は一時的に
負担を強いられているということになる。
沖縄はその負担が最も大きい。
パワーバランスの要がここに集中しているので、私としては沖縄に配慮こそ
すれども冷たく見放すことなど心情的に出来ない。


国民は今回のオスプレイ事故を、もっと重大にとらえるべきである。
米軍中尉の「感謝されるべき」という発言に屈辱を感じるべきである。
「沖縄だけ」の他人事と考えて放置していると、いずれとんでもない事が
起こるかもしれない。

保育園ブログを選んだのは不適切なのか

新語・流行語大賞」で「保育園落ちた日本死ね」というフレーズが
ベスト10内にランクインしたとして、選考委員を務めた俵万智氏が
バッシングされているらしい。
例によってネット民の仕業だが、
曰く「"死ね"という言葉はふさわしくない」
曰く「つるの剛士のツイートが正しい」
曰く「流行語というほど流行っていない」
曰く「政治的主張はよそでやってほしい」
等々。


こういう主張をしているのは国民の中でもごく一部なのだろうと
思いたいが、とにかく鈍感な連中であることには間違いない。


俵氏のコメントを読めば「こんな言葉を使わなくてもよい社会に
なってほしい」とあるのだから、「死ね」が乱暴な言葉であることを
承知の上で敢えて選んだのだ
、ということは明白である。
それすら読み取れず、ネット民は「反日」扱いするのだ。


言っておくが、現在の劣悪な子育て環境を黙認することの方が
よほど反日である。

ネット民は「自分は日本人である」ということだけを拠り所にして
他者を批判するから、すぐに「反日」という言葉を使いたがる。
俵氏の現代社会を憂慮した言動のどこが反日なのか、きちんと説明できる
のだろうか。


また、ネット民は物事を「白黒」でしか認識できない。
タレントのつるの剛士が「日本死ね」ランクインに苦言を呈したことに
乗っかかり、「こちらが正しい。選んだ奴が悪い」というガキのような
善悪論に陥ってしまう。
ネット世論が「つるの支持」に傾いたから、自分の価値観はさておき
そのセーフティエリアから他者を批判するだけである。


これもきちんと強調しておこう。
つるの剛士の言い分は正論である。
ただし、つるのは成功したイクメンタレントである。
つまり、あくまで「勝者から見た正論」でしかない。
自身の収入で充分に家族を食べさせることができるし、会社員のような
縛りがないからイクメンとしての時間を割く事も出来る。
ここまで子育て環境に恵まれている国民は、ほんのわずかだろう。


だが、現在の日本においてはこの環境がもっと広がる必要がある。
少子化では国力が衰えてしまう。
そのための子育て支援は急務だし、雇用情勢の改善も必須だ。
ところが安倍晋三は例によって「口だけ」だから、実際には何の対策も
行っていない。
何かやっていても実績が出てこない。
そんな状況で吐き出されたのがあの言葉なのだから、言葉遣いは悪くても
真実を映し出しているのだ。


私は、つるの剛士の言い分は正論であると同時に、選んだ俵万智氏の
感覚も正しい、と思う。

どちらかが善でその反対が悪、などといった単純な図式が成立する
問題ではない。
しかし、白黒判断しかできないネット民には、それが分からないのだ。


その他、「実際に流行っていない」とか「政治的主張をするな」とか言う
連中は、尻馬に乗って叩きたいから叩いているだけである。
「流行語」というのはあくまで看板であって、正確には「その年に話題に
なった言葉」が選出されるものである。
過去においても「集団的自衛権」とか「特定秘密保護法」とか
アベノミクス」など、流行ってもいない政治用語が選ばれた例は
いくらでも存在する。
ただ、自民党批判に繋がる言葉が選ばれた途端にネットから反対意見が
出てくるのは、ネット民のネトウヨ気質のためなのだろうか。


そういえば、「民主党政権時代に比べれば待機児童数は減っている。
これは現政権がきちんと対策を講じたからだ」などというコメントも
見受けられた。
「減っている」といっても有意性のある減少なのか分からないし、
そもそも何故いまだに民主党政権時代と比べる必要があるのかも不明だ。
安倍政権もいろいろ問題があるけれど民主党政権よりはマシ、と
思いたいのか?
そこまでして安倍政権を肯定したいのか?
過去はともかく「現政権が現状に対してどのような政治を行うか」
重要なのではないか?


結局、「民主党民進党サヨク=悪」という認識だけで自民党
支持してしまっているから、大局的に物事を考えられないバカが
増えているのだろう。
だから、自民党に楯突く奴は皆「悪」「サヨク」「反日」と見なすのだ。
先にも書いたが、こういう鈍感な「権力の犬」こそが最大の反日
あるのだが。


最後に、ある程度は批判されることを覚悟しながら保育園ブログの言葉を
選んだ俵万智氏の勇気に敬意を表したい。
プロがリスクを冒してでも「何かを残す」という行動をとることの意味は、
ノーリスクで言いたい放題の大衆ネット民には理解できないだろう。